遺言があるのに、ほかの相続人が勝手なことをしようとしている。

父が遺言を遺していたのに、姉がその内容を無視して勝手に遺産分けをしようとしているのですが、それは有効なのでしょうか?

先日、当事務所に寄せられたご相談です。その後、受任には至りませんでしたが。。

遺言がある場合、基本的にすべて、遺言の内容に従って遺産は分割されます。銀行の預金は指定した相続人が相続し、不動産も同じくです。遺言に書かれていない預金口座や不動産がある場合(これが意外と出くわします)、その部分については遺産分割協議を行わなければなりません。

よくあるのが、自宅の土地と建物は遺言書に書いてあるが、まわりの私道部分の記載が漏れているなどです。こうなると、せっかく遺産分割協議をしないで済むようにと遺言書を用意したのに、私道部分のためだけに遺産分割協議をしなければいけなくなってしまいます。司法書士が関与すれば、市役所などで名寄帳を調べますので、そのようなことは起こりませんが。

遺言者が亡くなった場合、銀行口座を解約するには、あるいは不動産の名義を変更するには、銀行の窓口や法務局に遺言書を提出して、その内容のとおりに手続きがされます。が、遺言書を提出せずに手続きをすることも可能です。銀行や法務局は、亡くなった人が遺言書を作成していたかどうかは分かりませんから。もし、相続人全員が同意して、遺言書と異なる内容の遺産分割協議を成立させたとすれば、つまり、全員の実印が押印され、印鑑証明書が添付された遺産分割協議書が作成されていれば、遺言書と異なる内容での遺産分けが可能です。

ここでポイントになるのが、「相続人全員」というところです。遺言書があってもなくても同じなのですが、遺産分割協議書を作成するには、相続人全員の署名押印、そして印鑑証明書が必要です。ですので、相続人の一人が、あるいは数人が、ほかの相続人の意向を無視して勝手なことをしようとしても、それは不可能です。

しかし、その人らの言うままに印鑑証明書を渡したりしてしまうと、「知らなかった」では済まされなくなりますので、決して安易にハンコをついたり印鑑証明書を渡したりしてはいけません。

2019年10月18日 |

カテゴリー:相続全般 遺産整理 遺言

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